2004/10/31 振り袖1

年が明けると成人式があります。人生の節目を祝う華やかな儀式ですが、友禅作家にとっても華やかな作品を扱うことのできる機会です。

今回から振り袖の制作過程を紹介しながら、友禅染の華やかさと、制作の細やかさをご覧いただこうと思います。

仕事場はごらんのようにごく狭いところで、飾りっ気もありません。ここでひたすら下絵描き→糸目糊置き→彩色などをしてゆきます。

テーブルの真ん中のガラスの下には電球があり、下からの光線に浮かび上がる原画を写し取って下絵を描きます。描かれた下絵に沿って糸目糊置きをします。

今回は糊に赤い染料を混ぜて境界線をわかりやすくしています。もちろんこの赤色は最終的には溶けて無くなり、もとの白い絹布の色となり、友禅染め独特の風合いとなります。

シンコという道具で絹布を広げてあります。あらかじめ寸法に切ってある絹布に、模様を合わせながら描いてゆきます。

この作業で位置がずれると、仕立てたときに模様がずれます。したがって裁断した絹布は一度縫い合わせて、しっかりと位置決めされます。

糸目糊置きで囲まれた部分を彩色してゆきます。糊で囲まれた部分は外に染料が漏れることなく色がついてゆきます。

ここでよく使われるのがぼかしの技術で、加賀友禅の大きな特徴になっています。明るい色から先に置いて次に暗い色を置いてゆきます。

糸目糊置きの赤い線は、最終的には絹布の白い線になります。その線は作家によってそれぞれ特徴があり、例えば菊の花びら一つ、葉の付き方一つについても、微妙な違いがあります。彩色の技法も含めて、作家それぞれの個性となっています。

この振り袖は左右の袖がそれぞれ春と秋の花々で彩られる予定です。ごらんの振り袖がどんな風に仕上がるのか次回をお楽しみに…。